流通本部は「アウトソーシング事業」を展開する組織で、運輸本部がお引き受けする「運ぶ、保管する」サービスに加えて、主に「検査し仕分けする」業務を担っています。業務の実態は、本社から車で10分ほどの距離にある栗東事業所と愛知県豊田市の広瀬事業所の2拠点にあり、いずれも自動車部品メーカー直系の物流会社様から作業代行の委託を受け、海外から輸入されてくる部品の保管、検査・検品を行っています。従来この種の作業は、メーカー様側で担当されるのが一般的でしたが、近年では物流業務をトータルに請け負う業者の台頭により、メーカー内から切り離される傾向にあります。現時点では、「運ぶ、保管する、検査する」の3事業を連携する案件こそありませんが、売上構成比では既に主力の運輸事業に匹敵するまでに成長し、今後はより事業部間連携によりスケールメリットを提供できる事案が増えるものと期待しています。
お客様に代わって海外で造られた部品を
「検査」しています。
お客様の製造・流通プロセスの
一部を代行する事業です。
日々のカイゼンの積み重ねが重要です。
お客様の業務を代行するには、専門集団として高い作業効率性が求められます。それを実現するのが日々の「カイゼン」活動です。日本企業は自動車産業を中心にこの種の活動に熱心で、たとえば整理、整頓、清掃、清潔、しつけの頭文字をとった5S活動や、生産管理の三大要素、品質、コスト、納期すなわちQCD向上に向けての実践事例は世界の模範にもなっています。当社が請け負う検品作業においても同様な取り組みは有効で、日々、作業品質と生産性の向上に向けて地道な努力を行っています。
工程管理者は、製品の入庫から保管、検品、仕分け、出荷等の一連の作業工程の中で、スピードアップを妨げているプロセスはどこか、不具合の発生頻度が高いのはどの工程かに注意を払い、問題があればその原因を突きとめて、速やかに改善策を講じます。そのような循環を通じて、工程管理者と作業者の双方にノウハウが蓄積・共有され、作業者の熟練度も上がっていきます。
作業者のやる気を引き出す
工程管理者を育成しています。
作業的側面の強い定型業務は、IoTとAIの進化に伴い、いずれロボットに取って代わられる時が来るかもしれませんが、実用段階に移行するにはまだ時間がかかり、その間は優れたマネジメント手法を有する作業集団が不可欠となります。そこで大事になるのが、そうした優秀なチームの定着やさらなるスキルの向上です。一方、作業者の多くは地元のパート・アルバイトの社員で、海外国籍の方も少なくありません。こうした方々が継続して就業していただくためは、作業者の安全・安心を担保することはもとより、職場の雰囲気づくりや円滑なコミュニケーションを推進するヒューマンなアプローチも重要となります。当社では、こうした理由から、作業者のモチベーションを向上させることができる工程管理者の育成や、受託先のお客様の協力を請う形での就業環境の改善に取り組んでいます。大事なことは「人」であり「やる気」です。一人ひとりが、お客様やユーザーのために何ができるかを前向きに考え、プラスアルファの行動を起こせる。そのような風土を作り上げることが、「業務品質No. 1、信頼度No. 1」の称号を勝ち取る唯一の術であると考えます。
Enjoy wonderful life!
ビックバンドジャズで
トランペットを奏でています。
私のモットーは「真摯」であること。趣味は音楽演奏です。ステージでは、黒のタキシードに身を包み蝶ネクタイでドレスアップした「紳士」(笑)になります。実は16人編成のビックバンドジャズに参加しており、4本のトランペットのうちの1本を私が吹いています。練習は週に1度、演奏会は年に3回ほど行なっています。孫にも恵まれ、すっかり「おじいちゃん」業が板についてまいりましたが、歳を重ねても主役の座というのは気持ちの良いものです。会社では、他の管理職共々、1日も早い世代交代を実現すべく後進の育成に励んでいますが、先導する立場の者が人生を謳歌できなければ、追いかけてくる若者もいないことでしょう。ルイ・アームストロング「What a wonderful world」が似合うナイスなオールドマンを目指したいと思います。
Special Issue
プロの工程管理者を目指す方へ
プロへの道
私はかつてメーカーに籍を置き、物流業務に携わっていました。いわゆる発注側にいたということになります。ここで培った生産管理のノウハウは、その業務が外注化された先である当社のアウトソーシング事業でもそっくり活かすことができます。工程管理に携わる方、事業所の長を目指される方に、マネジメントのポイントをい くつか紹介いたします。
Point
01
利益を出すために、
「4M」の改善を図る。
ものづくりの現場では、業務品質を維持することは当たり前、重要なのは原価低減です。コンスーマの要求は「より良いものをより安くより早く手にする」こと。QCDを究極のバランスポイントにまで持ち上げるということです。考えてみればかなり無茶な要求ですが、これをクリアできないと製品購入に至りませんので、結果的に淘汰されてしまいます。そこで原価に関わる「Man:人、Material:モノ、Machine:設備、Method:作業方法」の「4M」ごとに、どうしたらコストを削減できるかを具的的に考えることになります。
1-1 Man:多能工化と省人化
原価低減の有効策は人件費を下げることです。手持ち無沙汰な社員がいないか検証し、工程ごとの要員を最適化し、余剰な労働力を省きます。同時に1人の社員が複数の工程を担えるよう研修や資格取得支援を行い、補完可能な体制を構築します。多能工化は作業者のキャリア形成に繋がり、本人にとってもメリットがあります。
1-2 Material:資材の有効活用
当社のアウトソーシング事業では、業務上必要な資材のうち当社が自己負担すべきものはあまりありませんが、当社資産のパレットやコンテナケース、道具類があれば資源をきっちり管理し徹底して無駄を省きます。
1-3 Machine:稼働の最適化
設備の刷新は極めて有効な手段ですが設備投資を伴うことから最終手段となります。作業レベルで実行するとなると、理想的には処理量に応じてラインを動かし、適時適数の作業に徹することですが、常勤者を抱える当社では現実的ではありません。そこで年間を通じて一定の業務量を確保するなど、営業的側面からクリアすることになります。多品種少量生産に対応する方法もありますが、作業効率性の検証が必要になります。
1-4 Method:業務の標準化
ルーティンな作業を新人に委ね、習熟度を要求される属人的業務を減らします。マニュアル整備や導入研修により、業務未経験者でもミスなく効率的に作業できるよう工夫します。業務の標準化は、就業のハードルを下げるだけでなく、何度も繰り返されるミスの防止や、難易度の高い業務の伝承等においても有効です。
Point
02
あるべき姿
(原理原則)に正す。
工程管理者は原則、現場の指揮官ですので、当然「現場」で「現物」を観て「現実」を把握していきます。エクセルの数字も大事ですが、机上からは見えてこないことがたくさんあります。自分の知らないところで何が起きているのか、多数の作業者の声に耳を傾け、問題が発生していた場合、なぜそういうことになるのか、どこに無理があるのか、あるべき姿はどういうものなのか、原理原則に照らし合わせて抜本的な解決策を検討し改善提案を行います。作業者にできないこと、つまり全体の仕組みや環境を改善することが工程管理者の仕事になります。
Point
03
PDCAサイクルを回す。
上述したことは、マネジメントのサイクルとされるPDCAサイクルを回すことに他なりません。Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Action:改善の4つのプロセスを順に行い、一巡したら新たな目標に向けてこのサイクルを回していきます。生産性向上のためのマネジメント手法ではありますが、個人レベルでもこのようなやり方を意識することで、現状を打破し成長し続ける人材になることができるはずです。